ここ数年、日本は空前の訪日外国人観光客ブームを迎えています。そこで、日本を観光する時の内容も多様化してきました。
よく言われるのが、寺や神社のような典型的な観光地よりも、普通の日本人の生活が分かるような場所が良いということです。これは、ニュースでも言われていますし、実際にお客さんと接していても聞きます。
通訳案内士の仕事を私が始めてから驚いたのは、渋谷のスクランブル交差点が外国人観光客に非常に人気のある場所だということです。あそこは、もう観光地と言えますね。渋谷に昔から親しんだ人にとっては、ただの交差点じゃん、という感じですね。ハロウィンやサッカーのワールドカップなどのイベントがあるとあそこで人が騒ぎ出すので、観光地と言うのも分かるのですが、外国人観光客にとっては、常に人気スポットの1つです。
同じく渋谷で言えば、ハチ公像も観光地となりました。ハチ公と言えば、待ち合わせの目印として使われていましたが、最近は、観光客が列を作って順番に写真を撮っています。いやはや時代は変わりましたね。
とはいえ、浅草寺やスカイツリーのような、コテコテの観光地もまだ人気はあります。私もよく案内します。そこで、この記事では、どういう場所が観光客に人気があるのかを、まとめてみようと思います。そうすることによって、これから自分のツアーを作成する時の参考にできると思います。
渋谷や新宿のような繁華街は、地元の人も観光客も集まる場所ですし、逆に地方都市は、地元の人も観光客も、繁華街に比べると少ないです。そこで、観光客が多いか少ないかという観点と、地元の人が多いか少ないかという観点で、それぞれ横軸と縦軸に取り、カテゴリーを4つに分けてみたのが次の図です。
繁華街ゾーン
まずは右上のゾーンから説明していきます。このゾーンは、観光客も地元の人も多い場所です。新宿、渋谷、池袋などが該当します。新宿も、やはりエンタメの街ですから、外国人観光客に非常に人気があります。ゴールデン街など、独特の雰囲気のあるエリアがいくつかあるのも新宿の魅力です。
これらの場所は、特に観光地というわけではありませんでした。しかし、典型的な日本の繁華街で、遊ぶところは多いですし、また日本人の普通の暮らしが分かる場所でもありますので、観光客にも人気があります。
谷根千も、繁華街では決してありませんが、このカテゴリーに分類しました。というのも、谷根千は最近、観光客の間では普通に人気のあるスポットとなってしまい、外国人が割とたくさん歩いているからです。ここは昭和の東京の街並みが分かる場所として密かなブームでしたが、最近では有名になり過ぎた感がありますね。
繁華街ゾーンは、やはりその特性上、若い観光客が多いです。新宿や渋谷は、ある意味で典型的な日本なので、日本らしい場所として私は好きですが、まあ繁華街は中国やアメリカなど、あちこちにあると言えばあります。なので、本当に日本にしか無いものを求めている人は来ないでしょうね。年配の方で日本の歴史に興味がある人などは、次に挙げるいわゆる観光地的な場所を求めています。
観光地ゾーン
図の右下のエリアです。浅草寺、明治神宮、スカイツリー等が該当します。コテコテの観光地ですね。
東京の人は、東京タワーやスカイツリーに行ったことが無い人が多いと聞いたことがあります。「わざわざ行かないよ」なんて言う人もいますね。来るのはお上りさんということでしょうか。
西の方では、金閣寺や二条城、また宮島などもそうです。このような場所は、観光客がめちゃくちゃいっぱい来ていて、地元の人ももちろん居るとは思いますが、あまり行かない場所ですね。更に類型すると、城、寺、神社がこのような観光地に該当します。各都市に、城、寺、神社があって、それぞれに多様な観光スポットを形成しています。例えば東京なら皇居、浅草寺、明治神宮で、大阪なら大阪城、四天王寺、住吉大社です。名古屋でも見つかりますね。
こういう場所は、もう観光客には飽きられていると言われていますが、そうは言っても観光客はたくさん来ています。我々通訳案内士の仕事で言えば、大手の旅行会社から来る仕事はこういう場所が多いですね。
生活圏ゾーン
次に説明するのが、左上のエリアで、生活圏ゾーンです。イオンや鳥貴族、高田馬場、名古屋をここに分類しました。
イオンや鳥貴族は、現代日本人の生活を構成する、欠かせない要素です。常に地元の人が絶えませんが、外国人観光客はあまり居ません。で、こういう場所にお客さんを案内すると、けっこう喜ばれます。鳥貴族のようなタッチパネルで注文する居酒屋は物珍しいですし、焼き鳥は普通に美味しくて値段も安いので、実際、こういうところはかなり案内するのに向いていると私などは思っております。
安くて便利、というメリットと共に、こういう場所こそ真の日本人の生活が分かるという意味でも興味深いスポットであると思います。
地名で言えば、高田馬場や中野など、人が多い割に外国人観光客が少ないですね。こういう場所は便利で色んな店もあるのですが、外国人向けのガイドブックなどにはあまり載っていないので、情報が不足しています。我々通訳案内士が案内すると良いのではないかと思います。
地方都市ゾーン
最後のゾーンは、地方都市ゾーンとしました。地元の人も、東京のようにうじゃうじゃ居るわけではなく落ち着いた場所で、観光客ももちろん少ない、そんな場所です。
パッと思いついた地方都市をリストアップしたので、ラインナップに深い意味は無いです。ここに挙げた都市を、田舎の都市だとか言いたいわけではありません。単に観光客は少ないし、地元の人もそんなに多くない普通の場所だと言いたいだけです。
こういう場所は、主要都市からの交通アクセスがそんなに良くないため、どうしても通訳案内士の仕事をしていても、案内する機会は少ないです。たまに船の港の近くで、クルーズ船のお客さんを案内する仕事が入るぐらいですね。
人が少ないこういう場所を実際案内してみると、かなりお客さんに喜ばれることがありますね。東京は、人が多すぎるんですよね。日本の地方都市は、混雑していないし、食事も美味しいものが多いし、寺や神社などの日本的なものもあります。混雑していない場所は案内もしやすいので、私は好きですね。
ただ、交通アクセスの悪さがネックとなり、このゾーンを案内するのは現実的には難しいです。そもそも来る人が少ないですし、わざわざ来る人は、何か具体的な用事があることが多く、通訳案内士に仕事を頼んだりしません。
まとめ
さて、以上、図を用いて4つのゾーンを説明しました。右側の2つはすでに開拓された感があるので、個人事業主として細々とやっていくなら、左側のゾーンにポテンシャルがあるかなと私は思っております。まだ大手企業が手を付けていない場所を案内するツアーを作って、ツアーの販売サイトに掲載すれば、そのエリアに関しては自分が圧倒的優位に立てます。どんどん開拓していきましょう!