2014年度 通訳案内士二次試験(英語) 受験レポート その1

通訳案内士の二次試験(口述試験)は、謎に包まれた試験です。公式サイトの受験の要領を読んでも、あまりイメージが湧きません。また、試験本番は問題の漏洩を防ぐために、謎の拘束時間があります。知らないで行くとペースを崩されるので、本番当日の流れは抑えておいた方が良いでしょう。以下に私の体験記を書きます。

試験前の拘束

この試験、受験者は試験前と試験後に部屋に拘束されます。問題の漏洩を防ぐためです。試験時間も含めてトータルの拘束時間は3時間弱あります。拘束中は携帯電話その他の電子機器を使うことができませんので、紙媒体の勉強道具を持って行った方が良いでしょう。

トイレに行くにも試験管を呼ばなければならず、試験前の緊張もありかなり疲れます。知らなければ精神的に参ってしまうでしょう。私は事前にCEL英語ソリューションズの前年度の受験レポートを読んでいたので覚悟を決めて来ていました。ちなみにCELの受験レポートは当日の様子が分かる豊富な資料ですので、試験対策をする前に必ず読んでおいた方が良いです。

本当に自分の口述試験の直前になると、試験を行う部屋のすぐ隣に案内されます。そこで前の受験者が試験しているのを待っていると、あることに気づきます……。これはちょっと私はブログに書けませんので、当日のお楽しみにしておいてください。

試験開始

自分の番が来て呼ばれると、いざ試験開始です。

試験管は、英語のネイティブスピーカー(ニュージーランド人でした)の50代ぐらいの女性と、同じく50代ぐらいの日本人女性でした。日本人の方は大学教授でしょうかね。

名前と、どこから来たか言うように日本語で指示されました。私は英語で自己紹介をしました。名前と出身地、そして私はその時気合が入っていたので、勢いで郷土の英雄を紹介しました。あくまで一言で、です。これは試験というよりガイドになるための面接だから、こういうガイドっぽいアピールが大事だと思ったのです。

通訳試験

自己紹介の後は、通訳試験です。2センテンスぐらいの日本語が日本人試験管に読み上げられ、メモを取り、その後に英語に訳して回答を言う試験です。

私が座った椅子の隣に、ボードとメモ用紙(A4)、筆記用具が置いてあり、メモはご自由にお取りくださいとのことでした。ボールペンや鉛筆などがありましたが、ボールペンはインクが出ないことを恐れて、鉛筆をチョイス。さあ、始まりです。問題文はこんな感じでした。

「日本人は、お茶や麺類、汁物を食べる時、音を立てて食べます。これは、美味しいということを主人に示すために行っており、正しいマナーです。」

確かこんな感じだったと思うのですが、正確にはもう忘れました。というか、その場でもメモを取れず、これ以外の情報は逃していたのかもしれません。私は助詞などを無視し、名詞や動詞だけを素早くメモしました。私の回答はこんな感じです。

“When Japanese are sipping tea, noodles and soup,  we make sounds intentionally. It is not a bad manner. It is a good manner among Japanese. By doing it, we show that we think it’s delicious and our gratitude to the host.”

これは正直、今思いついた英文と言った方が良いかもしれません…まぁだいたいこんな感じの回答をしたということで……。gratitude という単語が出てきたのは、日本語のメモを書き逃したのですが、感謝の気持ちとか言っていたような気がしたので付け加えました。私が回答している間、二人の面接官は頷いていました。優しそうな面接官に当たってラッキーでした。通訳問題は質疑応答などはありませんのでこれで終了です。

スピーチ

次はスピーチです。日本語で3つのテーマが与えられ、1つを選択し、英語で2分間のスピーチを行い、その後に英語で質疑応答を行うというものです。どんなに対策していてもテーマ次第では楽勝だったり詰んだりする可能性があるので、けっこう理不尽な試験です。私に与えられたテーマは

  • 有馬温泉の特徴と行き方
  • 福袋について
  • 東海道五十三次について

の3つでした。ハッキリ言ってかなり焦りました。相撲や歌舞伎など、典型的なテーマに絞って勉強していたため、この3つはどれもメインストリームから少し外したテーマであり、私はかなりの苦戦を強いられました。

「決まりましたか?」

日本人面接官から聞かれてしまいました。東海道五十三次は全く知らないのであり得ません。これを選ぶ人は上級者でしょう。福袋は?何とか説明できるかもしれない。ただ、luckey bug という訳語が出てこず、選ばない方が良いという結論を出しました。残る1つは有馬温泉ですが、私はこのテーマに関しては、しまった!という衝撃が強く、選択するのを一瞬躊躇してしまっていたのです。というのも、実は試験の前の日と試験当日、私の職場の旅行があり、同僚たちは有馬温泉に行っていたのです。私は試験があるから、と旅行を欠席しておりましたが、日程的には、有馬に宿泊してから京都入りすれば旅行にも試験にも参加することができました。

もちろん、前日は猛勉強のため、旅行参加はあり得ない選択肢でした。しかし、前日に有馬温泉に宿泊してれば、見たことをそのまま英訳すれば楽勝に2分間のスピーチが組み立てられましたので、結果論に過ぎないのに私は内心動揺していました。ただ、これは大きな流れの中では、私はラッキーな受験者でした。同僚が旅行の計画を立てていたため、有馬温泉が神戸にあることを知っていたのです。

先述の通り他の2つはかなりキツい選択肢であり、選べません。

「決まりました」

と宣言し私は有馬温泉についてのスピーチを組み立てました。テーマの選択の後に、スピーチの組み立てのために30秒が与えられました。再びメモ用紙を使い、単語でスピーチの骨子を書きなぐっていきます。

有馬温泉の特徴は?私は試験勉強のために読んだ本に、有馬温泉は日本最古の温泉の1つだと書いてあったことを思い出しました。というかほとんどそれしか思い出せませんでした。最古という話の繋がりで、古事記に有馬温泉について言及してあったような気がしました。神武天皇が浸かったんじゃなかったっけ?ーー後で調べたところこれは私の創作でしたがーー他にネタはありませんので、これでいくことにしました。

あとは有馬温泉に限った話ではありませんが、温泉には違いありませんので、温泉一般の特徴を話しちゃうことにしました。健康に良いという話です。一般的な話をしてしまうというのはこの試験のある種の裏技かもしれません。他には、ちょっとずれた具体的な話をしてしまうとか。今回で言えば無理矢理に道後温泉の話を持ち出すみたいなことです。

ともかく、2分間のスピーチの始まりです。後はもう、でまかせで英語を話すのみです。

“Let me talk about Arima Onsen. It’s located in Kobe city. Arima Onsen is one of the oldest onsen in Japan, or hot spring in Japan. The book which wrote ancient Japan, named The Kojiki mentioned the onsen. Our first Emperor took the same hot spring as us!

Arima Onsen is good for our health very much as usual onsen is. When we take it, it will cure our disease, like muscle pain and high blood pressure. I recommend you very much.”

ゆっくり間を取りながらしゃべっていたので、この辺りで1分経過を告げられました。実際にはもうちょっと色々言ったかもしれませんが覚えていません。残り1分です。ここから、どうやって有馬温泉に行くか、にシフトします。

“I’ll explain how to get to Arima Onsen from Aichi prefecture where I live. You get on Shinkansen express from Nagoya station to Kobe station. And you change trains to local train. And then you get to Arima onsen. Arima onsen is very good for your hearth. I recommend you!! Thank you.”

1分20秒〜30秒ぐらいだったでしょうが、ネタが尽きたので、同じことを繰り返して言い、終了しました。

言ったそばから、ガイドなんだから自分の住んでる愛知県から有馬温泉の行き方を説明しちゃダメじゃんと後悔し始めました。試験会場からの道順を言えば良かったですね。

あと、敢えて私が行ったスピーチをそのまま記述するよう心がけましたので、冠詞や加算、不可算などはめちゃくちゃです。こんなもんです。あと新幹線は神戸駅じゃなくて新神戸駅ですね。今思えば色々と恥ずかしいです。

さて、この後はこのスピーチに対して質疑応答です。長くなってきたのでこの辺りで区切ります。

その2へ続く

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